• ジュリアン・ムーア
  • 渡辺謙
  • セバスチャン・コッホ
  • クリストファー・ランバート
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Comment
コメント

  • 対立し合う彼らの心に届いた歌声は、本当に素晴らしかった。
    音楽や歌には心を結びつける力があるのだと改めて感じる。
    秋川雅史さん (テノール歌手)
  • 人間は社会性の生物。他者との交流を通じて「心」が生まれる。
    このことがよくわかる映画。
    愚かさ、慈しみ――人間という存在が愛おしくなった。
    池谷裕二さん (東京大学教授)
  • マイクを通さない生の歌声が、如何に空気を振るわせて人間の聴覚を刺激し、感動を与えるか。
    それこそがまさにベル・カントの神髄であり、このような奇跡をも生み出し得るのだと実感した。
    池田理代子さん (漫画家/声楽家)
    イラスト付きコメント
  • 歌の力を感じる映画でした。
    違う立場の人達が向き合い、生活を共にする中に、幻のユートピアを見た気がします。
    真実の愛を歌に託せば、全ての人に届くかもしれないという夢を抱いてしまうような。
    それでも、私達は歌い続けるしかありません。絶望から希望へと。
    井上芳雄さん (俳優)
  • “氷山の一角”
    ニュースでは水の上の氷しか見えない。その下の大きな真実。
    さりげなく聞いていたセリフが見終わった後、水の中から浮かんでくるように心に残る。
    小堺一機さん
  • それぞれの『正義』と異なる『主張』。
    相反する現実社会の中で、美しいメロディーは救いにはならなかったのか…。
    心にずっしり響く物語でした。
    涼風真世さん (女優)
  • 芸術や学ぶことによって人質とテロリストから、平和を愛するただの人間になる。
    心と心が寄り添うその温かな時間は、人種を飛び越え人間としての大切なものを
    教えてくれる。宝物のような1本だ。
    檀れいさん (女優)
  • 極限状態の中に分断される人々を美しい歌声が結んでいく。
    イデオロギーと芸術のはざまで育まれる愛と人間の絆に揺さぶられる。
    中野信子さん (脳科学者)
  • 英雄的な物語の裏側には、それを創作した人と、それを生きた人がいる。
    生きた人の声は、歴史の闇に葬られる。映画はその闇に語らせようとする。
    しかしそれは、真実を暴こうというジャーナリズムとは異なる。
    もっと危うく矛盾に満ちたものに、映画は惹かれるのだ。
    名越康文さん (精神科医)
  • 正しい事とは何か。強い想いこそが芸術を生み出し人々を癒すのかもしれない。
    宮尾俊太郎さん (Kバレエ カンパニー プリンシパル)
  • 破壊するのも、創造するのも人間。
    極限の状況だから、真の姿が見える。絆が結ばれる。
    つかの間とわかっているからこそ、一緒にいる時間を大切にしたい。
    心に響くのは至上の芸術、そして愛である。
    茂木健一郎さん (脳科学者)
  • テロリストは敵に違いない、その緊迫感の中に温かな人間愛が音楽、歌声によって生まれる。フレミングの歌声を映画の中で聞けた幸せに涙。
    言語と国を超えた愛と友情に満ちた感動作だ
    森公美子さん (歌手)
  • 泣きました!
    ドラマのクライマックスに美しいアリアが重なり、その歌詞がオペラ以上にぐっと心に語りかける。衝撃のラストをも浄化するような、美しい歌が印象的!
    森麻季さん (オペラ歌手)

Trailer
予告編

  • 90秒ver.
  • 30秒ver.

Introduction
イントロダクション

世界的なオペラ歌手の歌が、
認め合ってはならない者たちを結びつける
感動の人間ドラマ
Amazon ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーに輝く
ベストセラー小説を
日米豪華キャスト
〈ジュリアン・ムーア×渡辺謙×加瀬亮〉で映画化
世界最高峰の豪華アンサンブルが実現した。アカデミー賞®に5度、ゴールデン・グローブ賞には8度ノミネートされ、『アリスのままで』で遂に両賞をダブル受賞し、現代の映画界において傑出した演技派女優となったジュリアン・ムーア。アカデミー賞®にノミネートされた『ラスト サムライ』以来、ハリウッドでも高く評価され、ニューヨークとロンドン、そしてこの夏に日本でも上演され熱い喝采を浴びたミュージカル「王様と私」でトニー賞にノミネートされた渡辺謙。クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』や、アッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』などに出演、世界各国の名匠から愛される実力派俳優、加瀬亮。
その本物の演技で観客の魂を揺さぶり続ける3人が競演するのは、2001年に出版され、PEN/フォークナー賞とオレンジ賞(現在のベイリーズ賞)のフィクション部門最優秀賞を受賞し、Amazonのベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーにも輝いた小説「ベル・カント」の映画化。2012年にTIME誌の“世界で最も影響のある100人”に選出された作家のアン・パチェットが、1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件からヒントを得て、テロリストと人質の予期せぬ交流を描いた物語だ。ニューヨーク・タイムズ紙は「スリル、ロマンなど小説に必要なアイデアすべてが見事に混ざり合っている」、ニューヨーカー誌は「銃とプッチーニと赤十字の交渉が、アリアのように美しく綴られていく」、さらにサンフランシスコ・クロニクル紙は「この上なくロマンティックで魔法のように魅力的」と、アメリカの一流メディアから大絶賛を集め、30の言語に翻訳されたベストセラーが、日米の豪華キャストによって新たな命を吹き込まれた。
テロリストと人質──
なぜ、正反対の立場の彼らが心を通わせたのか?
危機的な状況で生まれた絆の行方とは──
実業家のホソカワは通訳のゲンと共に招かれた、南米某国の副大統領邸でのパーティーを心待ちにしていた。ホソカワの会社の工場誘致を目論む主催者が、彼が愛してやまないソプラノ歌手のロクサーヌ・コスのサロンコンサートを企画したのだ。現地の名士や各国の大使も集まり、女神のようなロクサーヌの歌声が流れたその時、突然テロリストたちがなだれ込み邸を占拠する。収監中の同志の解放を求める彼らは、赤十字から派遣されたメスネルを介して政府と交渉をするが平行線が続く。そんな中、ロクサーヌの歌をきっかけに、貧しく教育など受けられるはずもなかったテロリストたちと、教養に溢れた人質たちの間に、親子や師弟のような交流が生まれ始める。しかし、かりそめの楽園に終わりの時が近づいていた──。
世界的なオペラ歌手のロクサーヌ・コスに扮するのが、ジュリアン・ムーア。女性が解放される中、著名人であるために人質としてとらわれるも毅然とふるまうコスを情感豊かに演じた。コスの歌声を当代随一のソプラノ歌手と称えられるルネ・フレミングが吹き替えた。『シェイプ・オブ・ウォーター』の挿入歌「ユール・ネヴァー・ノウ」でも知られる歌姫の、この世のものとは思えない崇高な歌声が存分に堪能できる。
崇拝するコスを守ると共に、独自の美学を貫く実業家のホソカワに渡辺謙。彼のこれまでの人生のバックグラウンドをも感じさせる、厚みのある演技で魅了する。ホソカワの通訳を務めるゲンに加瀬亮。聡明で沈着冷静な男が、テロリストの一人に英語を教えるうちに心を通わせていく姿を繊細に演じた。また、赤十字の交渉人メスネルには、『ブリッジ・オブ・スパイ』のセバスチャン・コッホ、フランス大使ティボーに『ヒトラーと戦った22日間』のクリストファー・ランバートと、ベテラン俳優が物語にリアリティをもたらした。監督は脚本も手掛けた『アバウト・ア・ボーイ』でアカデミー賞®脚色賞にノミネートされたポール・ワイツ。
人の心を救うのは“力”ではなく、美しい芸術や温かな交流だと教えてくれる感動の人間ドラマ。

Story
ストーリー

彼らの運命は、その女神のような歌声に託された―

「フライトは長いし、着けば兵隊だらけで、銃を振り回してる。怖くてたまらないの」と、電話の相手に嘆くのは、世界的オペラ歌手でアメリカ人のロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)だ。1996年、南米某国。コスは副大統領邸で開催されるサロンコンサートを控えていた。この国の政府から工場誘致のために招かれた日本の実業家ホソカワ(渡辺謙)が、コスの長年のファンであることから企画されたのだが、フランス大使のティボー(クリストファー・ランバート)ら各国のVIPも招待されていた。
通訳のゲン(加瀬亮)を通してコスと対面を果たしたホソカワは、こよなく愛する「月に寄せる歌」を最後に歌うと聞いて感激し、最前列の席に着く。女神のように美しいコスの歌声に陶然としたその時、突然、銃声が鳴り響き、「我々は南リバタリアン運動の戦士」だと名乗りを上げながら、武装したテロリストたちがなだれ込む。彼らはマスダ大統領をとらえようとするが、大統領は直前に欠席を決め、その場にはいなかった。

邸内にいた全員が人質となったまま朝を迎え、赤十字国際委員会から交渉人としてメスネル(セバスチャン・コッホ)が派遣される。テロ組織のベンハミン指揮官(テノッチ・ウエルタ)は彼に、自分たちの要求は刑務所に拘束された政治犯全員の釈放だと告げ、女性と使用人の解放には応じたが、コスは「有名人だから」という理由で残される。その時、コスを心配して取り乱した伴奏者が、驚いた少年テロリストに射殺されるという事態が起きてしまう。
ホソカワはゲンを通してコスに、実は工場を作る気はなく、あなたの歌を独占できるという虚栄心から招待を受けたので、伴奏者の死に責任を感じていると伝えるが、コスは責められるべきは気乗りがしないのにお金のために来た自分のほうだと答え、互いをいたわり合うのだった。

膠着状態のまま1週間が過ぎた朝、政府は邸の水道を止めるという強硬策に出る。指揮官はコスに「人質が誰かを思い出させる」ために歌ってくれと頼む。悩んだコスは、ホソカワの「あなたの声は誰のものでもない」という言葉に励まされ歌うことを決意する。屋上から魂を込めた歌声を披露するコスに、テロリストと人質はひとつになって熱い拍手を送るのだった。さらに、その光景は集まったテレビ局によって全世界へと配信され、マスダ大統領の「人質の安全を最優先に」という声明と共に、邸への給水は再開された。
コスの歌をきっかけに、邸内の人間関係が大きく変わり始める。テロリストの少年がコスに歌を教えてほしいと願い、別の少年はティボーを父親のように慕う。さらに、コスの世話係になったカルメン(マリア・メルセデス・コロイ)が、ゲンにスペイン語と英語を教えてくれと頼む。教養に溢れ、人格者でもある人質たちに、テロリストたちが敬意と好意を抱くようになったのだ。いつの間にか共に食卓を囲むようになり、温かな絆も芽生えていく。だが穏やかな官邸の外では、もはや限界と判断した政府が、最後の作戦を実行しようとしていた─。

Cast
キャスト

  • as ロクサーヌ・コス

    ジュリアン・ムーア

    1960年12月3日、アメリカ、ノース・キャロライナ州生まれ。『ブギーナイツ』(97)、『ことの終わり』(99)、『めぐりあう時間たち』(02)、『エデンより彼方に』(02)でアカデミー賞®にノミネートされ、『アリスのままで』(14)で同賞とゴールデン・グローブ賞を受賞する。また、カンヌ、ベルリン、ヴェネチア国際映画祭の女優賞をすべて受賞した、初めてのアメリカ人女優でもある。その他の主な出演作は、『ハンニバル』(01)、『シングルマン』(09)、『キッズ・オールライト』(10)、『メイジーの瞳』(12)、『キャリー』(13)、『フライト・ゲーム』(14)、『キングスマン:ゴールデン・サークル』(17)など。新作は、ミシェル・ウィリアムズ共演の『After the Wedding』(19)、ジョー・ライト監督の『The Woman in the Window』、アリシア・ヴィキャンデル共演の『The Glorias』など。
  • as ホソカワ

    渡辺 謙

    1959年10月21日、新潟県生まれ。トム・クルーズ共演の『ラスト サムライ』(03)で鮮烈なハリウッドデビューを飾り、アカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされて以来、当代で最も重要なフィルムメイカーたちとコラボレーションしてきた。ロブ・マーシャル監督の『SAYURI』(05)、クリストファー・ノーラン監督の大ヒット作『バットマン ビギンズ』(05)と『インセプション』(10)、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』(06)などに出演。2018年には、ウェス・アンダーソン監督のアニメーション映画『犬ヶ島』で声の出演をする。その後も、『名探偵ピカチュウ』(19)、『ゴジラ キング・オブ・モンスター』(19)などの大作に出演する。新作は、若松節朗監督の『Fukushima 50』(20)。
    コメント
  • as ゲン・ワタナベ

    加瀬 亮

    1974年11月9日、神奈川県生まれ。生後まもなく渡米し7歳までアメリカのワシントン州で過ごす。2000年にスクリーンデビュー。2004年公開の『アンテナ』(熊切和嘉監督)で映画初主演を果たして以降、周防正行監督『それでもボクはやってない』(07)、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』(06)、北野武監督『アウトレイジ』(10)、アッバス・キアロスタミ監督『ライク・サムワン・イン・ラブ』(12)、ホン・サンス監督『自由が丘で』(14)、森崎東監督『ペコロスの母に会いに行く』(13)、山田太一脚本「ありふれた奇跡」(09)、堤幸彦監督「SPEC」(10)シリーズなど映画を中心にテレビドラマ、CM、舞台等、メジャー、インディペンデントを問わず、国内外の作品に出演。新作は、ジョニー・デップ共演の『Minamata』(20)。
  • as フランス大使ティボー

    クリストファー・ランバート

    1957年3月29日、アメリカ、ニューヨーク州生まれ。リュック・ベッソン監督の『サブウェイ』(85)でセザール賞を受賞して注目される。続く『ハイランダー』シリーズ(86/90/94)が世界中で大ヒットを記録し、広くその名を知られる。その他の主な出演作は、マイケル・チミノ監督の『シシリアン』(87)、『モータル・コンバット』(95)、『ベオウルフ』(98)、『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』(15)、『ヒトラーと戦った22日間』(18)など。プロデューサーとしても活躍、『9か月』(95)などを手掛ける。
  • as 赤十字のメスネル

    セバスチャン・コッホ

    1962年5月31日、ドイツ生まれ。ドイツで最も成功を収めた俳優の一人。『善き人のためのソナタ』(06)でブレイクし、国際的に知られる。『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(12)ではブルース・ウィリスの敵役を演じる。続いて、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』(15)、トム・フーパー監督の『リリーのすべて』(15)に出演し、高く評価される。その他の主な出演作は、ポール・ヴァーホーヴェン監督の『ブラックブック』(06)、リーアム・ニーソン共演の『アンノウン』(11)など。
  • as ベンハミン指揮官

    テノッチ・ウエルタ

    メキシコを代表する俳優の一人。メキシコのアカデミー賞にあたるアリエル賞に5回ノミネートされ、『クライム・シティ』(11・未)で受賞する。主な出演作は、ガエル・ガルシア・ベルナル監督・主演の『太陽のかけら』(07)、キャリー・ジョージ・フクナガ監督の『闇の列車、光の旅』(09)、『CLONES クローンズ』(10・未)、メル・ギブソン共演の『キック・オーバー』(12)、『デッドハント』(15・未)、Netflixの人気シリーズ「ナルコス:メキシコ編」(18~)など。
  • as カルメン

    マリア・メルセデス・コロイ

    グアテマラで生まれ育つ。初めてプロとして出演した作品が、ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作の『火の山のマリア』(15)。監督のハイロ・ブスタマンテが、サンタ・マリア・デ・ヘススの町で彼女を見つけ、主役に抜擢した。2018年、自身初となるTVシリーズ「Malinche」でタイトルロールを演じる。新作は、ブスタマンテ監督と再びタッグを組む『La Llorona』(19)。

Staff
スタッフ

  • 監督/脚本

    ポール・ワイツ

    1965年11月19日、アメリカ、ニューヨーク州生まれ。『アメリカン・パイ』(99)で監督デビュー。ヒュー・グラント主演の『アバウト・ア・ボーイ』(02)で、弟のクリスと共に脚本と監督を務め、アカデミー賞®脚色賞にノミネートされる。脚本と監督を担当した作品には、『イン・グッド・カンパニー』(04・未)、『アメリカン・ドリームズ』(06・未)、『ミート・ザ・ペアレンツ3』(10・未)、『ロバート・デ・ニーロ エグザイル』(12・未)、『アドミッション -親たちの入学試験-』(13・未)、『愛しのグランマ』(15・未)などがある。TVでは、ゴールデン・グローブ賞を受賞した「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」(14~18)のクリエイター、脚本、監督、製作を担当する。
  • 原作

    アン・パチェット

    1963年12月2日、アメリカ、ロサンゼルス生まれ。1992年に「The Patron Saint of Liars」を出版。1998年にTVシリーズとして放映される。2001年に4番目の小説となる「ベル・カント」を出版。全米で100万部以上を売り上げ、30の言語に翻訳された同作は、その年のPEN/フォークナー賞とオレンジ賞を受賞。さらにAmazonのベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーにも輝く。映画の公開を機に、文庫版が早川書房より10月下旬に再販される。2011年には「密林の夢」(2014年・早川書房)を出版。2012年にTIME誌の選ぶ“世界で最も影響のある100人”に選出される。現在はテネシー州のナッシュビル在住。
  • 脚本/製作

    アンソニー・ワイントラーブ

    脚本家、映画、TVのプロデューサー、監督。事業パートナーで妻でもあるキャロライン・バロンと共に、製作会社Aライン・ピクチャーズを通して本作の製作を担当。『マトリックス』(99)を基にしたオムニバス・アニメ『アニマトリックス』(03)のセリフとストーリー編集にも貢献。その後、松本大洋の画期的なコミックを映画化したアニメ『鉄コン筋クリート』(06)の脚本を手掛ける。
  • 製作

    キャロライン・バロン

    映画、TVプロデューサー。事業パートナーで夫でもあるアンソニー・ワイントラーブと共に、製作会社Aライン・ピクチャーズを通して本作の製作を担当。その他、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した『モンスーン・ウェディング』(01)、アカデミー賞®ノミネート作品『カポーティ』(05)、ポール・ワイツ監督のTVシリーズ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」(14~18)、Netflixで放送された「ワームウッド -苦悩-」(17)などを手掛ける。
  • 製作

    リジー・フリードマン

    『ガタカ』(97)にスタッフとして携わり、プロデューサーとしては、『セックス・カウントダウン』(07・未)、『ハッピー・フライト』(03)、『イン・ザ・ダークネス』(10・未)、『プリズン・エクスペリメント』(15)、『エミリー 悪夢のベビーシッター』(15・未)などを手掛ける。2015年、事業パートナーのグレッグ・リトルとカレン・ローダーと共にプライオリティ・ピクチャーズを立ち上げる。
  • 撮影

    トバイアス・デイタム

    ドイツ生まれ。『美しき獣』(12)、『スマッシュド ~ケイトのアルコールライフ~』(12・未)、『フランクとシンディ』(15・未)、『ラバーズ・アゲイン』(17・未)などを手掛ける。ポール・ワイツ監督とは、『愛しのグランマ』(15・未)と、自身が2017年と2018年にエミー賞にノミネートされたTVシリーズ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」(14~18)でタッグを組んでいる。
  • 音楽

    デヴィッド・マズリン

    作曲家、音楽プロデューサー。ニューヨーク在住の日本人ジャーナリスト佐々木芽生監督のドキュメンタリー『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(08)とその続編『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』(13)、同監督の『おクジラさま ふたつの正義の物語』(16)を手掛ける。『サンシャイン・クリーニング』(08)、ロマン・ポランスキー監督の『ゴーストライター』(10)、ライアン・ゴズリング主演の『幸せの行方...』(10)にも曲を提供している。
  • 歌唱吹き替え

    ルネ・フレミング

    1959年2月14日、アメリカ生まれ。ソプラノ歌手。当代随一とも言われ、レパートリーはリヒャルト・シュトラウス、モーツァルト、ヘンデルの作品、ベルカント、ドイツ歌曲、フランスのオペラ作品やシャンソン、ジャズ、インディーズ・ロックなど幅広く網羅している。国家芸術勲章とリチャード・タッカー賞の受賞者でもあり、世界中のオペラ・ハウスやコンサート・ホールに定期的に出演。2001年と2006年にメトロポリタン歌劇場の公演で来日。2014年6月18日に3度目の来日を果たし、新国立劇場オペラパレスで開催された東京国際コンサートに出演した。

Production Notes
プロダクション・ノート

きっかけはプロデューサーが
そのテーマに深く共鳴した小説
2001年に出版されたアン・パチェットの小説「ベル・カント」を読み、2002年には映画化権を取得した製作のキャロライン・バロンは、「アメリカ同時多発テロ事件のすぐ後に、この小説を読んだの。当時の世界は砕け散り、怯えているように見えていたから、すぐにこの多国籍で、多言語を話すキャラクターたちが、音楽を通して人間性に気付いていくという物語に引き付けられたわ。この小説のテーマが、私の心に深く共鳴したの」と振り返る。
当時バロンは、脚本家/プロデューサーのアンソニー・ワイントラーブと付き合っていたが、彼もまたこの小説にきらめきを感じ、すぐに映画としての可能性を見つけた。「アン・パチェットには、ドラマティックでダイナミックな物語を、心に訴えかける見事な舞台設定で描く素晴らしい才能がある」とワイントラーブは称賛する。
さらに、この物語には強烈なテーマ性があると、ワイントラーブは指摘する。「これは人間のつながりを描いた作品だ。最も深刻な状況下で、私たちはどのようなつながりを作り、違いを乗り越え、愛を見出そうとするのか。この物語は嫌悪や暴力に目を向けるのではなく、私たち一人一人が同じ人間なのだということを訴えかけてくる。人は離れていくのではなく、互いに引き寄せられていくのだ」
ジュリアン・ムーアと渡辺謙あってのプロジェクト
製作陣は、アカデミー賞®受賞歴をもつジュリアン・ムーア、同賞ノミネート経験をもつ渡辺謙を中心に、珠玉の国際俳優たちを集めた。クリストファー・ランバート、セバスチャン・コッホ、加瀬亮、マリア・メルセデス・コロイ、テノッチ・ウエルタといった魅力あふれる俳優たちがアンサンブルキャストとして参加した。「キャスティングは一番エキサイティングで楽しい仕事の一つだった。これほど多種多様なキャストと毎日仕事ができるのは本当に喜びだった」とワイントラーブは振り返る。俳優たちは、ニューヨークで一時的に生活しながら、互いに通訳し合い、協力しながら、綿密な演技を練っていった。中には、アメリカで初めて生活する者も何人かいた。
ポール・ワイツ監督は、「私にとっての鍵は、脚本をジュリアン・ムーアに送り、彼女に私と一緒にこの映画を作りたいと思ってもらうことだった。彼女には、人間としても女優としても、知的で大胆不敵なところがある。私は敬愛するパートナーとこの作品を築き上げたかった」と熱く語る。
ワイツ監督は、渡辺謙のことも「渡辺謙には素晴らしいユーモアのセンスがあり、物腰に気品がある。キャラクターはその恩恵を受け、この映画のほとんどで、彼から目が離せないだろう」と高く評価する。
キャラクターそれぞれの言語が飛び交う撮影現場
ワイツ監督は、どのキャラクターも英語を話すというような非現実的なやり方を避けたいと思ったと説明する。
「私にはわからない言語を使う俳優たちと仕事をし、複数の言語を使った映画を作りたい、それがこのプロジェクトに引き付けられた理由の一つだ」
本作の中で、ジュリアン・ムーアは英語で話し、渡辺謙は日本語で話し、テロリストはスペイン語とカクチケル語を話す。加瀬亮は真実味をもって通訳を演じるために、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語を学んだ。「信ぴょう性を損なうことなく、この言語の問題をうまく生かすことが、私たちにとって最大の挑戦になった」とワイントラーブは説明する。
また、この物語の中心には、あらゆる障害を超越する共通言語として音楽がある。最終的に、何のつながりもなかった人質とテロリストの間に音楽が絆を作り出し、彼らの運命がどんどん絡み合っていく。「言語は通じなくても、キャラクターたちは音楽によって結びつく」とワイントラーブは説明する。「ロクサーヌ・コスの歌声が、人々がコミュニケーションをとり、協力することを円滑に進める役割を果たすのだ」撮影スケジュールはおよそ28日間で、ロケ地は主にニューヨークとメキシコシティに集中していた。事件の舞台となる南米某国の副大統領邸には、ニューヨーク州ヨンカーズにある邸宅が使われた。本作の最後の見せ場であるメトロポリタン歌劇場は、幸運にもメトロポリタン美術館が提供する“ライブ・イン・HD”映像にアクセスすることができて、観客や内部の映像も本物を使うことができた。
世界一のオペラ歌手、ルネ・フレミングの参加
本作では、音楽がドラマティックな意味でもテーマとしても、非常に重要な役割を果たしている。従って、オペラを美しい響きと共に真実味のある方法で、物語の中に織り込むことが極めて重要だった。さらに、ジュリアン・ムーアは有名なソプラノ歌手として、完璧な説得力をもって演じなくてはならない。比類なきオペラ歌手のルネ・フレミングが、本作の歌の部分を担当し、ジュリアン・ムーアと共に役作りに参加した。ルネ・フレミングは、現在、世界一有名なオペラ歌手であると言っても過言ではない。
原作者のアン・パチェットが、小説のリサーチのためにルネ・フレミングに連絡を取ったことがきっかけとなり、二人は友人になっていた。アン・パチェットの紹介で、本作の製作陣もルネ・フレミングとの面会を果たした。「彼女に参加してもらうのは私たちの夢だった」とワイントラーブは振り返る。「でも、彼女がこの役の歌を歌ってくれるとは、夢にも思っていなかった。この作品にかかわってもらえるかどうかを尋ねた時、彼女は『いいわよ』と即答してくれた。本当に大喜びしたよ。それからというもの、ルネはいつも協力を惜しまなかった」
ワイツ監督も、ルネ・フレミングとどうしても仕事がしたかった。彼女ならこのキャラクターに素晴らしい内面性を与えてくれるとわかっていたからだ。「ルネはロクサーヌ・コスを作り上げるために不可欠な存在だった」とワイツ監督は説明する。「1回目のレコーディングで、彼女が何気なく言ったことまで、映画の中に取り入れたよ。彼女は『ドヴォルザークの「ルサルカ」は「人魚姫」のような物語よ。でもオペラだから、結局、皆死んでしまうのよね』と言ったんだ。ルネは素晴らしいユーモアの持ち主だ。このキャラクターを形作る時、そういう彼女の持ち味が大いに役立った」
ルネ・フレミングが本作のボーカルをレコーディングした時、ジュリアン・ムーアも立ち会い、ソプラノ歌手の歌い方、姿勢、身振りを学び取った。さらに二人は、プッチーニの歌劇「トスカ」のアリア「歌に生き、愛に生き」が、どのように演じられなくてはならないかを話し合った。ムーアは何度かメトロポリタン歌劇場を訪れ、リハーサルを観察したり、「ルサルカ」の演技に参加したりした。ムーアは、何年もフレミングと仕事をしてきた素晴らしいボーカルコーチで伴奏者でもあるジェラルド・マーティン・ムーアに指導を受けた。この役に対するリサーチと理解によって、ムーアは完全なクラシック音楽の歌い手を見事に演じ切ることができたのである。
オペラ以外の音楽は、エミー賞ノミネート経験を持つ作曲家デヴィッド・マズリンが手掛けた。フレミングは、マズリンの貢献に対して感情をこめて、こう語った。「彼の刺激的な曲は、もうそれだけでこの映画を劇的に盛り上げているわ。ボーカルの完璧な質感は、美しくもあり、恐ろしくもある。デヴィッドが、すべての音風景に、豊かでラテンの香りが染み込んだ芸術的なヴィジョンを抱いていたのは、音楽を聴けば明らかよ」
〈今の世界〉にこそコミットする作品のテーマ
ワイツ監督は、本作を支配するテーマは、私たちを人間にしているものは何かという、本質を追求することだと考えていると語る。「映画の最初の部分では、キャラクターたちは敵対している。でも、彼らの違いは、経験や恋愛、音楽や死すべき運命を共有し合うことで徐々になくなっていく。彼らは互いに絆を結んでいく。これこそが、まさにオペラ的なテーマだ」
そして、ワイツ監督は最近の出来事を見ると、この物語は小説が初めて出版された頃より、ずっと現実的なものになっていると指摘する。「私たちは人々を同胞と見ているのか、あるいは“他者”と見ているのか。こういう問い掛けは、明らかに今を表している。この映画が、人間の共通性という側面に重きを置いていることをうれしく思う」
ワイントラーブが言葉を添える。「私たちの社会は分割され、つながりも薄く、テクノロジーの中に隠れ場所を探している。この映画は、私たちに元々備わっている、協力する必要性を称える作品なのだ。何もかもはぎ取られた者たちが話し合う方法と共通の人間性を見出し、最後に彼らは全員が同じ人間だということに気付くのだ」